介護業界の課題として慢性的な人手不足が挙げられる。事実、2025年度にはおよそ38万人の介護職員が不足するという見解を厚生労働省が発表している。そして介護業界の人手不足に大きな影響を与えているのが管理職クラスの人材不足だ。
離職率が高い傾向にある介護業界において、管理職のマネジメント能力と職員の定着率の関係は強い。管理職にはチームのリーダーとして新人に対する教育や業務フォローが求められる。しかし頼れる管理職が不在の介護施設を選んでしまうと、仕事が嫌になり離職してしまうケースが出てくるのだ。また管理職が効率的なシフトを作れるかも重要だ。シフトが非効率だと中途半端な隙間時間が生まれ、労働効率の悪い現場となってしまう。
介護スタッフの定着率や仕事の作業効率を上げるために重要な位置づけにいるのが管理職である。にもかかわらず管理職が不足しがちなのはマネジメント業務が苦手な人、現場を続けたいという人などが一定数いるからだ。
そもそも現場の介護スタッフに求められる能力と管理職に求められる能力は異なるので、現場の介護スタッフとして能力、経験が十分な人材を管理職にしても上手くいくとは限らない。中途採用で外部から管理職候補を採用できれば理想である。しかし、介護経験があり管理職志望という人材は転職市場に少ない。他の業界で管理職経験のある人材を雇うのは、給与などの条件面で厳しいだろう。新卒採用者を将来の管理職として計画的に育てるのが、確実な管理職の獲得になるだろう。